東京から新幹線で約2時間で新潟県長岡市へ。長岡駅から電車で1駅の「宮内駅」から徒歩約10分の場所に、1800年代から続く醸造の町・摂田屋があります。
この辺りは古くからお米や穀物、良質な地下水が豊富だったことから、日本酒、味噌、醤油などの醸造文化が発達してきました。今も変わらず続く醸造蔵が6蔵あり、今回はその最後6蔵目の「機那サフラン酒本舗」をご紹介します。
1887年創業の「機那サフラン酒本舗」。
ここに着いて一番目を惹かれるのは母屋の隣に立つ蔵、色鮮やかなレリーフが施された土蔵ではないでしょうか。このレリーフは「鏝絵」といわれ、日本で発展した漆喰の壁に鏝を使って仕上げていく漆喰装飾の1技法。全国的にもここまで鏝絵が施された蔵は珍しく、保存状態もいいことから「日本一」と言われています。
扉に描かれた鏝絵は、鳳凰、麒麟、恵比寿、大黒や十二支などの縁起物が所狭しと施されています。この豪華な装飾を施す理由は、当時財を成した豪商などが富の象徴として用いていたのだとか。
摂田屋にあるこの豪華な「鏝絵蔵」の持ち主は、サフラン酒などの薬用酒の製造、販売で財を成した吉澤仁太郎。広い敷地には他にも、米蔵や離れ座敷など10棟の建造物や庭園、石垣があり、国の登録有形文化財にもなっています。
サフラン酒とは・・・当時日本で一世を風靡した薬用酒。
サフランとは西南アジア原産のクロッカス属の花。この高貴なサフラン、桂皮、丁子など20種類以上の植物などを調合した薬用酒です。特に女性に人気があったそうで、あっという間に噂が広まり人気商品に。現在では薬用ではなく、リキュールとしての扱いに変更しています。
機那サフラン酒本舗は、土日祝日限定で一般公開を行なっています。日本国内での人気も高く、鏝絵やサフラン酒を求めて県内外から多くの見物客が訪れる場所です。せっかく行くなら、公開日に合わせて行くのがいいですね。
サフラン酒はお土産としての購入も可能です。日本酒以外の日本の酒もお楽しみ下さい。
機那サフラン酒本舗から徒歩約3〜4分ほどの場所に、1930年に建てられた蔵をリノベーションした「LIS摂田屋」があります。1階では日本酒リキュールやカクテルなど、新しい日本酒の楽しみ方を知る商品が揃っています。摂田屋に訪れた際には、LIS摂田屋にもお立ち寄りください。