日本酒の味の目安としてよく使われるのが「甘辛度」。数値がプラスになるほど辛口、マイナスになるほど甘口とされます。
でも、実際の日本酒の味わいは、甘辛だけでは語りきれない複雑さがあり、その一つが「酸味」です。今回はその「酸味」について掘り下げてみました。
日本酒に含まれる、代表的な酸味
日本酒には、米や麹菌、酵母に由来するさまざまな酸が含まれています。コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酢酸など、それぞれが日本酒の個性を形づくっています。
中でもコハク酸は旨みを生む酸で、燗酒が美味しく感じられるのはこの酸のおかげ。量が多すぎると渋みや苦みにもつながるため、造り手は絶妙なバランスを目指して仕込んでいます。
一方で、リンゴ酸やクエン酸は爽やかな酸味を感じさせる存在。
リンゴ酸は白ワインのようなスッキリ感と甘味があり、洋食やスイーツとのペアリングにもぴったり。クエン酸は冷やして飲むとよりおいしさを感じやすく、レモンや梅を思わせる爽快さがあります。
こうした酸味の個性を持つ日本酒には、焼酎づくりにも使われる白麹が使われることもあり、新しい日本酒のスタイルとして注目されています。
日本酒の“酸”にちょっとだけ注目してみると、今までと違った味の世界が見えてくるかもしれません。
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